様々な職業の方が手当てを受けにこられますが、「ピアノの先生」も数名来られています。
平成27年1月9日から一週間の予定で来られた(仮名)相沢厚久さんも、ピアノの先生で夜10時、11時まで指導されているそうです。
何故、そんなに遅くまでレッスンをする人がいるのか疑問に思ったら驚きです。
地球の裏側の国の生徒も何名もいて、向こうの朝7時から「インターネット」のカメラを利用してレッスンを1時間単位でするのだそうです。
当然こちらは夜の7時からの指導となるのです。
指導が終わって、夕食、入浴などをしていると、寝るのが午前様になるのは当たり前ということです。
三叉神経痛のみならず病気に罹患している方のお話を伺うと、就寝時間が全員遅いという結論になりますが、これは日本人のほとんど夜型人間になっているという実態です。
でも、健康の条件は「早寝早起き」が鉄則ですから、体調の優れない方は早く就寝する努力は絶対必要です。
因みに私は午後8時か9時には寝ていますから、これは異常でしょうかね。
そして朝は早く、夜明け前には起きてやりたいことをゆっくりとやっています。
さて、数名のピアノの先生を御世話いたしましたが、皆さん上肢の筋緊張は異常です。
それもその筈、ピアノは上半身を酷使します。
先生といえども生徒に教えるためには少なくも毎日1時間は弾くそうですから、365日上肢は疲労します。
それだけではなく、先生になるまでには過酷な練習に身をやつしたでしょうから、筋肉も出来上がりますが、疲労の蓄積もあるのです。
練習を始める前に全身を緩めるストレッチをして、終了後にも疲れを癒す軽い運 動などをすれば、この様な病に罹患する確率は低くなるでしょうが、そのようなことに注意を払わなかった結果であろうと思います。
三叉神経痛の根本原因は常々申し上げているように「骨盤内」仙腸関節の亜脱臼です。
この関節の左右どちらかが歪むことで、背骨がS字状に歪み(逆Sもあり)顔がどちらかに傾きます。
当然左右の肩は平衡を欠き、片側の傾斜が大きくなります。
更に、背骨が捻じれますからどちらかの肩が前方に出ています。
この状態ですと、肩や首の筋肉は片側に偏った緊張を強いられますが、更に、この状態でピアノを弾くことで、緊張を強いられている筋肉はより緊張度を増す結果になるのです。
肩や首には様々な筋肉が深層、中層、表層に存在していますが、それらの筋肉を養う栄養血管も、筋緊張に圧迫され流れが低下をしてしまうことで、筋肉の緊張はいやが上にも最悪な環境におかれてしまうのです。
今回お見えになった相沢さんは三叉神経痛が右奥歯周辺(下顎神経)と、右目と右耳の奥から額(眼神経)にかけて「ナイフで刺される」激痛で苦しんでおられました。
発現している時間は5秒ほどですが、出るとレッスンの指導はちょっとできなくなるそうです。
上肢の緊張が何故、三叉神経痛に結びつくのでしょう。
相沢さんは、右肩の一部、右側首の一部を押圧すると、的確に右目上の「額」に痛みが発現するのです。
まるでその部分にスイッチがあるようで、こんな特徴を持った方は私も初めての経験でした。
身体の知覚神経(触れられたことを脳に伝える神経)は、背骨の「脳脊髄神経」からでています。
どの部分は、何番の背骨の神経からというように、首、背中、腰、骨盤から神経線維がある部分を支配していて、その部分に刺激が起きると、瞬時に脳神経に伝わります。
その速さは秒速で、触れると同時に刺激は脳に伝わります。
肩首の知覚神経は頸椎(首の骨の中の脊髄神経)を経て脳に伝わります。
その刺激が三叉神経の眼神経を刺激して、眼や額に激痛が発現します。つまり、肩首の筋緊張が異常というレベルなのでしょう。
その緊張度が強い部分を押すことで、その強度の強い刺激(インパルス)が、脊髄神経の中を脳に向かって上向する過程で、脳幹の橋で三叉神経繊維にも衝撃波が伝わると考えるべきでしょう。
そう考えると合点がいく理由があります。
三叉神経痛の方の歪みを取る「施術」をするときに、身体の向きを変えたりする際「首」を動かすと、三叉神経痛が発現するのです。
そして幾日かすると身体を動かしても痛みが弱くなるか、発現しなくなると、三叉神経痛の発作が治まるという事実もあります。
相沢さんも一週間の治療でしたが、そのスイッチ部分を押すと痛みは発現するのですが、日毎に弱くなってきました。
相沢さん曰く「弱い頭痛という感じになりました」と最終日に表現されました。
更に相沢さんの首の筋肉が異常に緊張しているのは、スカイプ機能を使ってピアノのレッスンをするときは、カメラの方に首を常に捻じっているというのです。
この影響が首の筋肉を過緊張させてしまった原因でしょう。
三叉神経痛の発現する機序は色々あるということが理解できます。
相沢さんは、右奥歯にも痛みが出ます。
どのように出るのか伺いました。
①冷たいものはストローを使用しないと歯にしみて飲むことができない。
②口を少しでも開くと痛みがでる。
③唇に触れても痛みが出る。
④歯磨き、ひげそりは痛みが出るので大変。
⑤会話も口を大きく開けては喋れない。
以上の訴えは三叉神経の「下顎神経」の支配領域で起きています。
額は、三叉神経の三本ある神経の「眼神経」で、残りの「上顎神経」は上顎から頬の辺を支配しているのですが、その神経は大丈夫なようです。
下顎神経からの痛みは経験上「咀嚼筋」という、口を動かす筋肉群が異常に緊張することで起きることが分かっています。
(西洋医学では全く考えられてはいません。私の考えです)
顔面骨と頭蓋骨は切り離せません。
これらは15種23個の骨が連なって構成されています。
これらの骨が「動く」「歪む」などは、一般には考えられていません。
しかし、これらの骨もゆがむのです。
つまり、骨盤が歪み、背骨がゆがむと、顔がどちらかに傾きます。
すると前段でお話ししましたが、傾斜することで、微妙な狂いが顔面・頭蓋骨に起こるのです。
三叉神経は、頭蓋骨の側面を通って顔面に出てきます。
神経線維は一本の線ですが、顔面に出る前に神経節で3本に(眼神経・上顎神経・下顎神経)に分かれます。
その時顔面の後ろにある壁(蝶形骨)を貫通してでてきます。貫通する孔を、眼神経は上眼窩裂(かれつ)から、上顎神経は正円孔から、下顎神経は卵円孔からでてきますが、
この蝶形骨(蝶が羽を開いている形)が問題です。
この骨は実は動くことがわかっています。
顔が傾いていると蝶形骨も微妙に歪み、三叉神経繊維も歪みが生じます。
蝶形骨は顔の動きに連動して微妙に動きますから、動いたときに三叉神経に刺激が加わると痛みが発現することもあると考えられます。
また、咀嚼筋(口を動かす筋肉)は「蝶形骨」に関わっています。
筋肉は、必ずどこかにつかまって動きをつくります。
咀嚼筋の内、下顎(アゴ)を動かす「外側翼突筋・内側翼突筋」は蝶形骨と下顎骨に付着することで、延びたり縮んだりして口を動かします。
蝶形骨が歪むと下顎の動きに微妙なくるいが起きることで、咀嚼筋自体が筋緊張を余儀なくされます。
咀嚼筋の知覚神経は三叉神経支配ですから、咀嚼筋の緊張が一定レベルを超えることで、口を動かす行為をするときに三叉神経を圧迫して下顎を支配している範囲に痛みが発現します。
先に述べた相沢さんの諸症状の内、口周辺に出ている問題はこれらが原因一つのです。
まとめましょう。
額(ひたい)にでる痛みは、前頭骨のゆがみ、或いは蝶形骨の歪みが三叉神経「眼神経線維」に刺激を与えるということです。
奥歯周辺に出る痛みは「咀嚼筋」の緊張が、下顎を支配する三叉神経を圧迫して痛みを引き起こすということです。
更に、蝶形骨の歪みが影響して、より三叉神経痛を発現しやすい環境を構築しているということもあると思います。
結論は、身体のゆがみが根本原因です。
証拠をお見せします。
上の写真は相沢さんの骨盤の狂いです。画板の左側が上がっています。左骨盤がこれだけ亜脱臼をしていたのです。
そして左右の肩がだいぶ下がっていますから、身体がゆがんでいるということです。
1週間後の写真が下の写真ですが見てください。骨盤が正されると左右の肩が大分上がっています。
顔は左側に傾いているのはまだ修正できていません。
この歪みが三叉神経痛を引き起こしているの根本原因です。
一週間の治療でしたが、痛みの発現は驚くほど少なくなり、痛みがナイフで刺されるから、弱い頭痛に変わってきました。
身体のゆがみが改善してきたことで、筋緊張のレベルが下がったからです。
パソコンのスカイプ(映像を使う)という機能を使うのだそうですが、離れている両親と話をしたら、顔の緊張がとれて元気そうだと喜んでくれたというのです。
時々息子さんの顔を見ている両親は、厚久さんの顔が変わったことに直ぐに気が付いたのです。
相沢さんは米国に22年住んでいました。当然米国流の食生活になるのです。
日本に帰国したときの体重は90キロだったそうですが、その体重には危機感を感じて、菜食ダイエットで20キロ減量したそうです。
5年前には「ギックリ腰」も経験したそうですから、腰にも問題があったのです。
当センターでは「健康の条件」を指導します。
その指導の実践の報告が1月23日にありました。
①シャワーが辛くなくなりました。以前はシャワーのお湯が頭に当たった時点で激痛を感じました。
②冷たいものが普通に飲めます。
③食事も会話も激痛がなくできるようになりました。
④生徒たちが先生の顔が変わったという事実です。(穏やかになったという事でしょう)
米国から来られた大久保さんも言っていました。
三叉神経痛の手当てを受けた後、友人に行き会ったら「お前顔が変わったな」と言われたということです。
三叉神経痛が出ているときは、顔が常に強張っているから「怖い顔」になっているからです。
遅れましたが、相沢さんは治療3日目から、腰が軽くなり「ふわふわ」として、体重がゼロになったような感じだと表現されていました。
その表現は病が治癒してゆく機微な状態を伝えてくれました。
「今は、時間をみつけては体操をしたり免棒を当てたりして筋緊張をとっている」という報告です。
自己努力でも症状は日毎に改善してきているということです。
薬などで痛みを抑えても、健康になる体質改善は全くできません。
自然療法(ナチュロパシー)の素晴らしさは、三叉神経痛のみならず身体の全てをリフレッシュしてくれるということです。
その結果、与えられた寿命までは、病気知らずで呆けることもなく、人生を謳歌できるでしょう。
健康法を会得するということはやる気さえあれば難しいことではありません。
数日間でも出来ることです。
三叉神経痛のみならず、薬に頼る弊害を理解した方は当センターの指導を受けにおいで下さい。
人生は楽しく生きたいものですが、その原理は学校も自治体も教えてはくれません。
後は、自らが学ぶという積極的な心の持ち主のみが、生涯を謳歌できるのです。
2015年2月中旬 高橋健康指導センター 高橋純一