三叉神経とは下顎骨の知覚や運動などを主体に顔面などを支配している脳神経の一つであるが、この神経に添って激烈な痛みが発現する状態を「三叉神経痛」といいます。
しかし、一部炎症などが原因で痛みが発現することを除けば、医学的には「原因不明」で根治困難と言われています。
でも根治困難は西洋医学の治療法であって、別の手当法を選択してみると克服の可能性があることの報告をしたいと思います。
平成23年9月16日今年60歳になられた女性の方が他県から見えられました。
病名は「三叉神経痛」です。
この方の症状は、今までかかわった方とは違っていました。
今までにかかわった方はほとんどが、下顎奥歯の歯茎周辺に激烈な痛みが発現していました。まれに、おでこ周辺に発現する方もおられましたが。
この方は平成17年に食事の食べ物をのみ込む際に、左耳にかけて違和感が発現します。しかし、数日でその症状は消えましたが、数ヶ月に再現します。
食事の飲み物、食べ物を飲み込む際、鋭い痛みが左耳の奥に発現をして、食事をすることが困難となります。
早速「耳鼻咽喉科」を受診すると「三叉神経痛」と診断され、抗てんかん薬「テグレトール」の処方を受けます。この薬剤は、筋肉を弛緩させる効果が有り、重度の三叉神経痛の患者さんにも処方されます。
この薬を服用する事で、痛みが和らぎましたが、数ヵ月後から徐々に痛みが戻り始め、平成19年に入り限界を感じて「微小血管減圧術」の手術を受けます。
手術は成功して今年の4月中旬までは症状は消えていたそうですが、再度食事の際に痛みが発現をして、日に日に強くなってきたそうです。
テグレトールは平成17年から、手術後も再発を恐れて服用していたそうです。でも、発現をしてしまいます。
再手術も考えたそうですが、頭部を切開することが怖くて、他に方法が無いだろうかと悩んでいたところ、ご主人が私の情報に接して、長野まで遠距離から来られました。
部屋に入られる際も、左頬を両手で押さえて、必死に痛みを抑えている姿は、多くのかかわった患者さんと同じでした。
暫く横になって休憩をしてもらい。頬と首筋を温めて、痛みが和んだ後状況をお聞きしました。
服用している薬は、テグレトールの他、1昨年から眠りが悪いために「メイラックス(睡眠薬)」と寒気がひどくなって冷え性を改善する「漢方薬」です。
更に、10年前から健康診断で高血圧を指摘され「アムロジン(本態性高血薬の降圧剤)」も服用していました。
現在の症状は、食事の際、食べ物が舌の後部を通過するとき、ギクギクという鋭い痛みが左耳の深部にまで及ぶため、柔らかい流動食に近い物しか食せないということ。また、しょっぱい物など刺激性の強い物でも痛みがでるそうです。
この頃は食事以外でも、同類の痛みが頻繁に発現するとのことでした。
また、微熱が続いて治まらない。便秘がひどい。胃が重い。寒気がひどい。疲労感が強くイライラするなどです。
食事が思うようにできないと言う事は、身体を衰弱させる一番の原因ですから、その辛さは想像を絶するものがあります。
さて、三叉神経は舌を支配してはいません。しかし、鋭い痛みはでています。舌の後部支配は舌咽神経ですから、この方は舌咽神経が圧迫を受けていると考えるのが妥当です。
ただし、三叉神経も舌咽神経も交通枝により交通はしていますから、痛みが出た時は三叉神経の経路にも影響が及ぶようです。
三叉神経、舌咽神経が痛みを発する事は分かりましたが、この症状も体質改善することで克服できる自信はありました。
正面から身体を見ます。
猫背気味で身体がゆがんでいます。右足が短いので右骨盤が亜脱臼を起こしています。
肩こりの自覚は無いとのことですが、並みのレベルではありません。
少し押しただけで、鋭い痛みを感じました。
全身硬直していると言って過言ではありません。
この緊張を改善すれば痛みは消失するはずですから、緊張を和らげる療法を開始しました。
「このギクギクという痛みさえ和らげばそれでいいのです。先生本当によくなるのですか?」
私は、師匠から教えてもらった言葉を発します。「病気は治るようにできている。治すのは先生ではなくて、患者自身が持っている自然治癒力です」
「あなたの身体の緊張が改善すれば、自然治癒力が高まり、症状は治まってきます。希望を持ってやりましょう。希望はプラスのホルモンを放出して身体の緊張をとってくれますが、悲観はマイナスのホルモンを放出して身体をがんじがらめに緊張させ、免疫力を低下させますから、気持ちを少しでも希望の方向に向けましょう」と、励ます3日間でした。
服用している薬の副作用を調べました。やはり、微熱、便秘、胃の不快感、寒気、イライラなどの記述があります。
薬を服用しての弊害を理解してもらいました。全て止めました。
4日目に入ると、食事の時も含めて、激痛が治まり、ぴりぴりと言う我慢できる痛みに変わり、発現の頻度が減少し始めました。
「先生、人間って欲張りですね。激痛が出なくなったら、このピリピリもなくなって欲しいですね」と笑顔が多くなりました。
五日目から症状は日々改善して、帰宅しなければいけない日がやって来て、九日間の療法を終了しました。
食事の時も普段も、弱いピリピリ感が、まだ時々でることもあるそうですが、来た時と帰るときでは雲泥の差となりました。
帰り際に「こんなに良くなるとは思ってもいなかったと、笑顔で帰られました」
これで完治ではありません。体質改善は端緒についたばかりです。
各種自己療法を家でするように指導しました。
食事も玄米を中心の「マクロビオティック」を指導しました。九日間いることで多くのことを学ぶ事ができたと言われていました。
体質改善のため再度時間をとり身体の手入れにやって来ますとも言われました。
しかし、一番本人が希望を持ったのは、もし再発してもこの療法を受ければ痛みが消失するという事実を体験した事です。
そして薬と縁を切ったお陰で、微熱も治まり、便秘も解消しました。胃の不快感も無くなり、食事を美味しく頂く事ができるようになりました。
冷え性は直ぐには完全にはなりませんが、体質改善を心がけ運動法を取り入れていく中で、近い将来克服できるでしょう。血圧も改善されました。
「続編」
(仮名)英子さんから、御礼の便りがありましたので、掲載させていただきます。
英子さんは最初、九日間私の指導を受けました。レベル5がレベル1ないし2まで下がりました。そして2週間後から、一ヶ月間指導を受けました。
レベル0.5まで下がりました。
後はマスターした「自己療法」で克服できる所まで来ています。長年積み重ねてきた、筋肉の疲労は時間をかけて癒していくことです。
「高橋先生
約1ヶ月の集中指導本当にありがとうございました。
4日「金」はセンターに立ち寄り出来ず残念な気持ちで一杯です。
戸隠へ主人と行ってみました(ご主人が迎えに来られたのです)。
中社で「おそばをすすり」、奥社までがんばって登って参りました。しかし、軽い気分で行ったものの想像以上にきびしいものでした。
三叉神経痛の病み上がりの私には、途中不安でいっぱいでした。
しかし、どこで何を食べるより先生の食事が最高です!!(当センターでは、マクロビオティックの食事を提供しています)。
5日(土)迎えに来た主人とけんかしいしい、羽田発14:20のANAで帰路に着きました。
思えば、10月10日センターへお伺いしたとき、先生「この一ヶ月でどう変わるかね」私:「期待しちゃいます!!」でした。
正にその期待通り、まだそちらに居る11月1日から、ぴたっと痛みがほとんど消えました。
臆病な私は、まだトラウマから脱出出来ませんが、本当にお陰さまで楽になりました。楽に生活が出来るようになりました。
こんなに青いきれいな空を見るのも久しぶりです。行きかう人々の表情も明るく目に入って来ます。
そして痛がりで、臆病で、意気地のない私は、先生が「もう0.5レベルだわ?」と言われた時「まだ、1~1.5位です」と言いましたが、本当は0.5だと思います。申し訳ございませんでした。
また指導センターへお伺いします。その時はよろしくお願い致します。
連絡遅くなり申し訳ございませんでした。
(仮名)英子」
最初の写真は最初に来られたときのものです。次の写真は帰られるときのものです。
最初のときは「猫背気味」で、身体が緊張しています。
2回目に来られて一ヶ月後、帰られるときの写真です。背筋が伸びゆったりとした感じがします。
私の手当ては体質改善です。
体質が悪くなって病気が発現します。
その体質を、身体の歪みを正し、正しい食事をして、適度な運動を心がけて、気持ちを前向きに持って生活していると、改善されて三叉神経痛も消えて行くのです。
英子さんの体験談が、三叉神経痛で苦しんでいる方の参考になれば、英子さんも、私も本望です。
高橋健康指導センター 高橋純一