三叉神経痛と腰痛の因果関係
三叉神経痛で苦しむ方とかかわりを持って10数年、この中で腰痛の痛みが消えると三叉神経痛も消えていく大勢の方と接してきました。
現代医学では、痛み止めの薬・神経ブロック注射、そして手術・放射線による痛みの回避治療などが主体ですが、再発率が高く、三叉神経痛の根本原因は特定されていません。
当センターに来られる70%ほどの皆さんは手術を経験され、再発して来られる方々です。このような現状を考察すれば、現代医学において三叉神経痛は非常に厄介な神経痛と言えるでしょう。
しかし、そのような厄介な三叉神経痛ですが、骨盤内「仙腸関節」の亜脱臼(以下、ヅレと記載)を正す手当を繰り返すと、三叉神経痛の痛みが消失するという多くの体験は、骨盤のヅレと三叉神経痛に因果関係が存在しているということがいえるのです。
「因果」とは
「直接的な原因と間接的条件との組み合わせにより、様々な結果を生起する」。という意味ですが、骨盤の果たす大きな役割を考えると、三叉神経痛発現の大きな原因がみえてくるのです。
つまり、直接の原因は「骨盤内、仙腸関節」のヅレであり、間接的条件は、骨盤がヅレることで体全体が歪むことから、三叉神経痛発現へ進んでいくのです。
骨盤の働きと仙腸関節のヅレ
骨盤は人体の中心にあって動きの「要」です。
動くという動作は、足が動くので動けると考えますが、動けるのは骨盤内にある仙腸関節の働きがあって、滑らかに動くことが可能なのです。
骨盤を解剖学的にみると図1の矢印の割れ目が仙腸関節で、その関節を詳しく観る
と、仙骨と腸骨の接する部分(図2の白線で囲んだ部分)なのです。
観た目には関節とは見えませんが、この関節は「平面関節」といわれ、実際には関節は関節包に包まれ、中は滑液で満たされ、周りは靭帯が幾重にも取り囲んで、強固な関節を構築しているのです。
この仙腸関節の働きは、二足歩行をする際重心が載ったときに「ふら付かない」ように、微妙に動いてバランスを調整する機能を持っているのです。
動きは僅かでも、この仙腸関節が正確に働かないと「つまずいたり・よろけたり・階段を踏み外したり・足首を捻挫したり」といった問題が起きやすくなります。
つまり、問題が起きやすい理由は、この関節がヅレを起こしているからです。
先ほどこの関節は「平面関節」と説明しましたが、骨盤の動きを司る筋肉群に体質的弱さがあると、平面関節であるがゆえに亜脱臼(ヅレ)を起こしやすいという特徴があるのです。
ヅレを確認するには、患者さんにうつ伏になって頂き、図3骨盤模型の上の赤線(左右の腸骨)に画板などを当てると確認(図4)ができます。
この方は右上がりですから、右仙腸関節にヅレがあります。図5はズレた右仙腸関節を「仙腸関節調整」で正した写真ですから、画板が水平です。
仙腸関節にヅレが起きると、上記の「つまずきなど」の問題も起きますが、時間の経過の中で腰痛などを感じるようになります。
身体が歪む原理
図1の骨盤を家に例えると骨盤は土台です。この土台の上に柱が載っています。図4で説明しましたが、右仙腸関節がヅレると骨盤全体が右上がりになります。
図6は骨盤にヅレがないので背骨も真っすぐで体に歪みはありませんが、図7では右仙腸関節にヅレがあるために背骨もS字状に湾曲するのです。
湾曲する理由は、背骨を曲げることで体の正中線を守り、歩行に支障がでないようにする、骨格の対応策なのです。
これが身体が歪む原理で、肩も水平でなく、顔も傾きます。
人体の生命活動の基本
人の身体の70%は水分です。
この水分が人体の生命活動の基本であり、物質的には、液性の血液・リンパ液・脳せき髄液で、この液性物質が身体を淀みなく循環することが必須なのです。
この液の中には生命活動を担う様々な栄養素を始め、細胞にシグナルを送る「ホルモン」、免疫を司る各種白血球が存在しています。
白血球と白血球を結ぶ連絡も、血液・体液の中で情報物質をやり取りして、生命活動に万全を期しています。
そしてもう一つ大切なのが「神経」で、体のあらゆる情報を大脳へ送り、また大脳の指令を各種組織へ送り、生命活動が途切れることなく営まれているのです。
この神経の中枢神経は「脳脊髄液」で満たされた背骨の脊柱管の中を走って、脊髄から「末梢神経」として身体全体に分布して、身体の動きを司っています。
以上のような営みが正常に働くには、歪みのない身体であることが基本です。
歪んだ体では様々な問題が起きてくることは想像できるでしょう。
今回のタイトル「三叉神経痛と腰痛の因果関係」ですが、骨盤内、仙腸関節がヅレることで、前段の「生命活動の基本」が影響を受け三叉神経痛へと進んでいくのです。
三叉神経痛を克服した皆さんの姿勢の変化を紹介しましょう。
歪んでいる状態、正された状態は、ご覧いただけばお分かりいただけるでしょう。
三叉神経の働きと三叉神経痛が発現する原因
「三叉神経」は三叉神経「節」という三叉神経の中枢組織から、眼神経・上顎神経・下顎神経という3本の神経で顔面の皮膚、下顎・上顎の歯茎、鼻腔、口腔粘膜などなどを支配して、その情報を大脳に送っています。
三叉神経痛はこの支配領域に発症する「神経痛」で、痛みのレベルは「千枚通し」で刺されるから「ズキズキ」まで様々です。
このレベルの違いは、歪んだ体を正すことなく、どれくらいの時間患って来たかによります。
この間、三叉神経節は、不自然な状況に陥ってゆく生命活動の影響を受け、情報を受け取る組織の「興奮度」が高まると考えられます。
これは推測ではなく、現代医学においても近年痛みの発現についての分類に「痛覚変調性疼痛」があります。
この意味は、痛みは肉体的な障害、神経線維の障害により発現しますが、これらの障害がなく原因が特定できない痛みで、長引く痛みにより脳の神経回路が変化して、知覚異常・過敏により生じる痛みです。
三叉神経痛も現代医学においては原因不明といわれ、不治の病ということが言えますが、私は、原因の多くは体の歪みであり、その影響で脳の神経回路、或いは三叉神経節が過敏に陥り、三叉神経の支配領域において、僅かな刺激に反応して痛みを発現させていると考えています。
例を挙げれば「歯茎に食べ物が触れただけで痛みがでます。顔に風が当たっただけで痛みが出ます。歩く振動が強ければ痛みが出ます。首を横に向けただけでも痛みが出ます。」しかし、体の歪みが解消されてくるとこれらの痛みも消えるのです。
消えるのは、体の歪みが改善され体の生命活動が高まったことで、脳の神経回路の変化、三叉神経節の興奮が治まり知覚過敏が改善されたからです。
ここで、腰が痛くなると三叉神経痛が発現しそうになるが、手当てを受けると的確に痛み、違和感が消えるお二人を紹介させていただきます。
岐阜県から来られている若林睦夫さんです。
若林さんは数年前に三叉神経痛で来られましたが、骨盤が正されると痛みが消失される方です。
しかし、腰が痛くなり始めると三叉神経が異変を感じます。しかし、骨盤を正すと三叉神経の異変も消えることから、異変を感じると直ぐに来られます。
今年の3月18日に来られた時の骨盤です。
左上がりの骨盤と施術後正された骨盤です。
もうお一人は県内の飯山市から来られている小沢みどりさんです。
小沢さんは数年前に三叉神経痛で来られて克服されましたが、その後も時々腰を痛めると三叉神経に違和感を感じたり痛みが若干出ることもあります。
そんな自分の身体を理解して、月1回はメンテナンスに来られていますが、今年の4月27日には三叉神経が怪しいと言われて急遽来られました。
当然骨盤が歪んでいました。
左上がりの骨盤と施術後正された骨盤
三叉神経痛で悩んでいる皆さん「百聞は一見に如かず」です。
お気軽にお問い合わせください。
令和5年5月 髙橋健康指導センター 髙橋 純一