三叉神経痛の患者さんと関わりをもって感じることは、先ずほとんどが腰痛の経験があるか、腰痛持ちです。
稀に腰痛を感じたことのない方もおられますが、骨盤の状態を観察すると、骨盤は狂っています。
でも本人は感じていないのです。
でもこのようなことは、三叉神経痛以外の不調で、私の健康指導を受けに来る方の中に見受けられる、一般的な事柄です。
何故、骨盤に狂いがあっても腰痛を感じないのでしょう。
私は生まれ持った体質の原因が一つあると思いますが、その問題を解説する前に、腰痛の原因を学ばないと話が進みません。
腰痛はなぜ起こるのか。
現代医学にも、東洋医学にも、また、様々な各種健康法において、いろいろの腰痛の原因が唱えられています。
それらの主張は一部理解できるところはありますが、私は腰痛の原因を次の様に捉えています。
先ず「腰痛」とは、腰の周辺に出る痛み・鈍痛・痺れ・違和感です。
「ギックリ腰」のような強烈な痛みも腰痛です。
また、お尻から足先にかけてでる痛みや痺れ感覚などは「坐骨神経痛」と言われますが、骨盤の狂いの結果として出るので腰痛のなれの果てと考えることができます。
腰痛は、次の図に見るように「骨盤内・仙腸関節」がズレること、亜脱臼を起こすことから始まります。
①
②
③
①の矢印の先の割れ目が「仙腸関節」です。
②は腸骨と接する仙骨の仙腸関節面ですが、関節の種類では「平面関節」と言われ「のっぺらぼう」の関節です。
③を参考にすると分かりやすいと思いますが、関節面が「平ら」ですから、左右前後に動く関節です。
骨盤の左右に一対存在して、歩くときに重心をのせて「微妙に動いて」身体のバランスをとる役割を果たしている重要な関節です。
この関節が関節の可動範囲を逸脱してズレる(亜脱臼)と骨盤周辺に問題が派生します。
いわゆる「腰痛症状」です。
何故、仙腸関節がズレると腰痛が派生するのでしょうか。
関節とは、人が動きを作る時に動いて目的を達成できる役割を担っていますが、一つの関節だけでは目的を果たせません。
幾つかの関節が協調して動くことで、初めて目的が達成されます。
例えば、椅子に座って、目の前にあるコーヒーカップを手でつかんで口に運ぼうとした場合を考えてみましょう。
「先ず、肩関節が動いて腕がカップに向かいます。当然肘関節も伸びます。
そして手首の関節を動かして、親指と人差し指の関節が協調して動くことでカップの取っ手を掴み、肩関節を含めた多くの関節の共同作業で口元にカップを運ぶことができます。
日々行われていることですから、想像すると皆さんお分かりいただけるでしょう」。
本題に入ります。
仙腸関節は歩きを作る時に動きます。
「重心移動」の図を参考にして下さい。
右足を前に出します。
このとき「重心」は左仙腸関節にのります。上半身の体重も一瞬左骨盤にのりますが、左仙腸関節が正しく働けば、バランスをとって、右足が空を切って前に出ます。
今度は重心が右仙腸関節に乗りますが、重心は必ず、腰骨の最下位にある腰仙関節を経由しますから、腰仙関節も非常に大切な関節です
その繰り返しで人は颯爽と歩くことが可能なのです。
歩く行為の時、仙腸関節を中心として、腰仙関節・股関節・膝関節・足首の関節・足先を構成している関節多数が協調して働いていて動くことが可能となります。
所が、仙腸関節にズレが出ると歩くときに微妙に「バランス」がとりにくくなります。
例えば、右仙腸関節にズレが出ると、左足を前に踏み出す際、不安定になるため、関節を動かす「筋肉」に無理がかかります。
この無理が重なると次第に筋肉は疲労して硬くなります。
「自動車の後輪のタイヤを例にとります」。
右側のタイヤの空気圧が30%少なくなったらどうでしょう。
左のタイヤに負担がかかり、そのまま動かしていると左のタイヤが摩耗して痛んできます。最悪両方とも痛んで運転がふら付いて危険な状態になります」。
仙腸関節にズレが起きると、足の動きを司る腰骨周辺の筋肉がまず一番疲労します。
その筋肉は「脊柱起立筋」といいますが、腰仙関節の動きを司る筋肉で、その筋肉が硬くなり痛みを感じるようになります。
これが「腰痛」で、腰の周辺に起きる症状です。
この腰痛を正すためには「仙腸関節」のズレを正すことが先決です。
私は「仙腸関節調整」という整体でズレを正します。
仙腸関節がズレていても痛みを感じない理由
骨盤周辺の筋肉が柔らかい10代の子供達、また、女性は体質的に筋肉が柔らかいので、少々のズレでは痛みを感じないという特徴があります。
しかし、60歳を超えてくると加齢とともに、筋肉量の減少や柔軟性の低下から痛みを感じる人が多くなる傾向にあります。
仙腸関節はどうしてズレ(亜脱臼)るのか?
先ほど説明した骨盤の図を見てください。
骨盤の左右腸骨の背中側には「脊柱起立筋」が付着しています。
この筋肉は背筋を伸ばし姿勢を正しく保ちます。また、身体を回旋させたり、前屈後屈にも関与します。
骨盤の前には、太ももを持ち上げ足を動かす「腸腰筋」が存在します。
この筋肉は腰椎の1番から出発して、腸骨筋と一緒になって大腿骨の内側に付着しています。
歩くときには必ず使われる筋肉ですから強靭な筋肉群です。
この二つの筋肉は腸骨に付着して、動きを司るところに注目してください。
この二つの筋肉群は人が動く際には必ず使われる筋肉ですから、疲れやすいという特徴があります。
その疲れが蓄積して限界を超すと、強く萎縮して「腸骨」を引っ張ります。その先に平面関節の仙腸関節が存在します。
関節面は「靭帯」というひもで簡単にはズレない構造になってはいますが、骨盤の前と後ろで、先の筋肉群の引く力が強いと、平面関節はズレやすいという側面を持っています。
筋肉は、不自然な姿勢で長時間作業する。重いものを持つことが多い。精神的負担が多い。不用意な転倒や事故。体力以上のスポーツの継続などで、強く萎縮します。
その結果として仙腸関節がズレるのです。
また、高齢になると、腰痛・膝痛を患う人が増加しますが、人生60年、70年生きたら、身体をリフレッシュする適刺激の運動は必須条件です。
運動量が少ないと、身体にある約400個余りの関節の動きが低下して、筋肉の動きが小さくなり、次第に筋肉量が低下することで、身体の柔軟性が失われて、関節が障害を起こすことになります。
その結果として骨盤が歪み、腰痛(坐骨神経痛・脊柱管狭窄症)・膝痛(変形性膝関節症)に侵されるのです。
身体を磨く大切さ
私は常日頃から、身体を磨く大切さを患者さんに説いています。
例えば、乗用車を例にとります。
車を買えば、6か月点検があります。
2年経つと車検があります(新車は最初3年)
車が雨などで汚れると洗車もします。
雪国では冬になると、スタットレスタイヤに履き替えます。
法的に決まっていることはやらなければなりませんが、そうでないことでも、車が安全に動くために、また、気分よく運転するために「手入れ」をします。
人も同じなのです。
ところが人は「健康に関心のある人以外」は、日ごろから身体を「磨く」ことは、余りしません。
散歩することや、ジョギング、スポーツジム、スイミング、また、特定のスポーツでも良いでしょう。
身体を磨とは、このように運動をして動物である自分の筋肉を鍛える、刺激することが大切なことなのです
そして更に大切なことは、運動していて、筋肉や関節に痛みや違和感が出たら、先ず骨盤のズレを考えることです。
多くは骨盤に問題が出ることで起きるからです。
薬でなく、骨盤を正すことで体に潤いと刺激を与えてリフレッシュさせて「磨く」ことです。
高齢者でも同じことです。
骨盤の歪みを正さないで、間違った手当をしているから、整形外科から抜け出せないのです。
仙腸関節がズレる結果起きる次の問題
仙腸関節は両側が同じようにズレることはありません。
必ず、右か左がズレます。
これは筋肉の緊張が左右で異なるからですが、身体の癖で強く緊張した側の仙腸関節がズレるということです。
するとズレた側の腸骨は上方に変位します。
写真を見てください。画版を両側腸骨に当てるとこれだけ左腸骨が上がっています。
当然左足がこれだけ短くなります。
しかし、仙腸関節調整をすると両足は揃います。
仙腸関節調整を施術すれば骨盤の歪みは正されますが、その施術を受けるまでは歪んだ状態で生活をしていたということです。
骨盤にズレが起きると、骨盤の上に載っている背骨が曲がる性質があります。
それだけでなく、捻じれも加わります。
次の写真を参考にしてください。
左右の肩も水平ではありません。そして顔も傾きます。
三叉神経痛の方は全員上半身が歪んでいます
このブログで紹介した皆さんの写真を見ていただくと歪んでいることが確認できます。
しかし、上半身だけが歪むということはあり得ません。
骨盤の歪みが上半身に波及することを皆さん理解されたと思います。
そして、歪んだ骨盤で生活している内に、身体全体の筋肉が緊張して、血液循環やリンパ循環、自律神経の流れも低下して不健康な状態に陥っていくことになります。
三叉神経痛の方は特に、肩、首の筋肉が緊張しています。
この不快な情報は、常に脳に電気信号として伝えられます。
腰が痛いとか背中が張る。肩首が辛い。また、気分を低下させる辛い出来事。便秘などの情報も併せて大脳に伝えられます。
不快な情報が脳に伝わるとき、その信号が脳幹から出発している三叉神経節を刺激すると、三叉神経が興奮して痛みを出すこともわかっています。
三叉神経痛が発症する原因は幾つかありますが、身体の歪みが様々な形で三叉神経痛を起こします。
腰痛持ちの人が三叉神経痛に関わるという事実は、腰痛を克服すれば三叉神経痛も克服できるということになります。
当センターで長期間手当てを受けていると、腰痛は消えてゆきます。
呼応するように、三叉神経痛も治まってくるという事実があります。
体の歪みを正す自己努力で三叉神経痛は克服する
腰痛を克服することは絶対の条件です。
しかし、長年歪んだ身体で生活をしてきてしまうと、ことは簡単にはいかない人も多く見受けられます。
一番大変なのは硬くなってしまった筋肉をいかに柔らかくするかということです。
筋肉を柔らかくするには、歪みをとる施術を受けることに加えて、ストレッチ運動を日々継続することが大切です。
そして食事も大切です。
肉が好きな人は減らす努力が必要です。
なぜならば、肉や肉の加工品の摂取が多いと、肉自体の持つナトリウム、肉の味付けに使うナトリウムが多いために、身体が硬くなるという側面があるからです。
また、動物性の脂肪は「飽和脂肪酸」といい、細胞膜を硬くするといわれています。
タンパク質は植物性たんぱくや魚たんぱくに切り替えが必要です。
植物の脂肪、青背魚の脂肪は「不飽和脂肪酸」で、細胞膜を柔らかくしますから、動脈硬化予防にてきしているといわれる所以です。
肥満は腰に負担がかかりますから、腹8分目7分目の和食が最適です。
外食は食事のバランスが崩れますから、勤めている方はお弁当を持参が理想です。
食事指導や料理の指導もしています。
三叉神経痛の痛みは強烈ですが、身体が不健康だから痛みが出ているのです。
身体が不健康に陥っていることを、教えてくれていると考えることが大切です。
病気には必ず原因があります。
怒りを持って対応することは間違いです。
一時、薬を服用することもやむを得ない場合もありますが、できるだけ早く身体を健康体にして薬から離脱することが、健康を取り戻す条件です。
「百聞は一見に如かず]
健康な身体になるためには幾つかの条件があります。
当センターでは、懇切丁寧に指導させていただきますので、是非勉強においでください。
平成28年9月 高橋健康指導センター 高橋純一
メール j-t@mx1.avis.ne.jp (mx1の1は数字です。l(エル)ではありません)
☎026-224-9070
fax 026-224-9072